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Web-Column - ディレクションとはなにか? -

ITをめぐるディレクション業務は、近年どんどん複雑化、単純なWebサイト構築の「制作進行管理」ではとどまらなくなっている。 多様化するWebディレクション業務について、役割ポジションと実践ノウハウを解説しましょう。

Vol.5ディレクションのスタート2 2014/07/15

表面的な情報分析からヒアリングへ

「情報の整理」がディレクションのスタートです。前回したご紹介したように、以下の情報に分類できることをご紹介しました。今回は、それぞれの情報をどのようにキャッチ・掘り起こしていくのかということで考えてみましょう。

  1. 表面的な情報
  2. 埋没している情報
  3. 追加すべき情報

まず、表面的な情報分析について述べますと、言葉のとおり、現状サイトやパンフレットなど表面に出ている情報のことになります。

サイトホルダーがどのような情報をもっているか確認することはディレクションの第一歩です。

Webサイトの場合、まず「現状のサイトマップ・ディレクトリィ表」で表面的な情報を確認します。
その入手には、Webサイトのファイル構造を解析するツールは種々出ていますし、サイトマップをみながらでも十分に把握できます。あるいはクライアント側で把握していることもあるでしょうから、それを提示してもらいます。

そこから満足してない部分の情報を引き出す。

「表面的な情報」を入手したなら、発注元クライアントにヒアリングします。

肝心なことは、クライアント(制作依頼者)に対して、「現状のサイトに掲載されている情報で、たして満足なのか?」ということ点です。もちろん直接面談をしてヒアリングするのが鉄則です。

リニューアルなどの案件であれば、「現状の情報では、とても(強いや魅力を)紹介しきれない」という話がかならずあがります。

「表面的な情報」を把握しているわけですから、そこでディレクション側として「現状ではどんな情報が足りないのか?」というヒアリングができます。「表面的な情報」を十分に理解しているがゆえ、「ヒアリング行為も具体的にできる」わけです。

リニューアルの目的として……

クライアントの多くにヒアリングしてみると、ミッションの主旨として「足りない情報を補完することがリニューアルの目的」ということが少なくありません。
当初の営業担当からは「デザインが今風でない(ダサい)」「サイトが使いにくい」「もっとユーザーにとって良いサイトにしたい」「売上を上げたい」……などなどリクエストを聞いていても、実際にヒアリングしてみると「製品の情報が足りないから使いにくかった」や「会社情報が十分でなかったためユーザーへの訴求が十分でなかった」などと、「情報不足」によりリクエストがかなえられるということが意外と多いのです。

「補完されたい情報が追加されることで、顧客満足度はあがる」
デザインやワイヤーフレームから出発するべきではない、という理由がここにあります。

付け足したい情報があるのに、それを考えないで先にデザインやワイヤーフレームから入るのは、そもそも意味のない行為です。
クライアントのほうで追加されたい情報があり、その情報の重要度で、デザインレイアウトが大きくかわってきます。
まずは表面的な情報を確認して、ヒアリングして、情報不足がないかを確認する。これがディレクションのスタートです。

ヒアリングの手法について

ここでヒアリングの手法について述べていきましょう。
前述したように、ヒアリングの良しあしでサイトの要件が決まることになりますので、非常に重要です。会社によっては営業やプランナーが別途担当されることあるようですが、ディレクターはヒアリングの場にでなければならないと思っています。
さらに直接、クライアント側からしっかり要件をヒアリングしておく必要があります。サイトのミッションや目的を明確にするために、ヒアリングシートをもってから臨むと、より具体的なリクエスト要件を聞き出せると思います。
ヒアリングシートの一例をしめしてみます。これは実際に使っていたものです。確認すべき10項目として、事前にヒアリングシートを出しています。

  1. サイト名とURL
  2. サイトの目的
  3. サイトのターゲット(年齢、性別、市場、コアと優先順位、対象デバイス)
  4. 今回のサイトの対象範囲(対象範囲、特定か、全体か)
  5. 現状のご不満点
  6. 追加されたい要素
  7. 追加要素についてのリソース
  8. 御社におけるチーム体制
  9. 公開時期と広告キャンペーン連動
  10. 目標(プロジェクト後のベネフィット)

実際のところ、このほかの聞くことはたくさんあります。ただ、技術要件や詳細須スケジュールは次のステップ(デザイン提案時)で確認したほうがベター。最初の会議で技術要件や詳細スケジュールまで出すと、おそらくはクライアント側も消化しきれないはずです。まずは概要をハンドリングするつもりでおきます。

このヒアリングシートで記述した内容はかならず情報共有するようにしてください。メールでよいですし、共有サイトなどをつかうなどしてよいでしょう。

その後も話し合ったことは情報共有することで、お互いの認知が一致します(情報共有はのちに詳しく語ります)。

すごく難しいヒアリングシートの前に……

ちなみに、すごく複雑なヒアリングシートを使っているディレクターもいらっしゃいます。これには疑問を感じます。
ヒアリングシートはあくまでクライアント側と制作側(代理店もふくめて)の意識合わせの道具です。
それに、多くの企業でWebサイトのご担当者は持ち回りであり、なかには新規のご担当者もおられます。営業などではプロフェッショナルであっても、サイトのことはあまりご存じない方もいらっしゃいます。

クライアントチームには、サイトに関する知識にばらつきがあるという認識を持ってキックオフすべきです。サイトに詳しくない方にいきなり難しい内容で迫るのはNG。

最初のヒアリングはわかりやすさを主眼に。

わかりやすい言葉を使って、ヒアリングシートを中心にしながら、相手方の希望を引き出すということを主眼に。

できれば、最初のお打合せの時に、「Webサイトとは何か?」や「Webサイトは育てるもの」などと、簡単なレジュメをもって、担当者の意識・知識が少しでも高まるようにすることが大事です。
下記は実際に配布説明している「Webサイトとは何か?」のレジュメシートです。簡単なサイト資料でお互い理解を高めておくことで、プロジェクトが進みやすくなります。とかくインターネット業界の方は専門用語(とくに横文字)を使って、相手を困惑させてしまう傾向があります。
「同じ言語を使う」「言語を近づける」というのもディレクションの大きな要素です。


どの項目が重要か。

さて、ヒアリングシートに挙げた項目は、それぞれ重要なわけですが、とくに重点的にヒアリングするのは以下のところです。

  1. サイトの目的
  2. 現状のご不満点
  3. 追加されたい要素
  4. 目標(プロジェクト後のベネフィット)

ここを重点的にヒアリングするようにしてください。クライアント側でもここを重点的に語られるはず。
ここを補完することが、情報の残りの2つである「埋没している情報」と「新規に追加される情報」ということに結びついてきます。
詳しくは次回に語ります。

つづく

今回のポイント

表面的な情報を把握して、クライアント側からしっかり要件をヒアリングしておく。それがディレクションのスタート。

筆者紹介
下坂 清周 KIYOKANE SHIMOSAKA

IT企業の取締役として十数年、金融機関サイトをはじめ一部上場企業サイトを多数構築。その他、eラーニングシステム・コンテンツ構築、各種業務系システム構築なども手掛ける。豊かなWebディレクションの経験を生かした「ディレクションとは何か」を本サイトで連載中。

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