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Web-Column - ディレクションとはなにか? -

ITをめぐるディレクション業務は、近年どんどん複雑化、単純なWebサイト構築の「制作進行管理」ではとどまらなくなっている。 多様化するWebディレクション業務について、役割ポジションと実践ノウハウを解説しましょう。

Vol.3ディレクターは何をすべきか? 2014/05/12

なにをすべきか、何をすべきではないか。

ディレクションの役割が「判断する」と「理由づけ」の2つから成り立つことはご理解いただけたと思います。
ではもうひとつ踏み込んで「何をするべきか」あるいは「何をすべきではないか」ということに言及してみましょう。

Web制作ということに限って言うならば、ディレクターの役割は「現場の指揮者」であり、「現場の調整役」と言えるでしょう。

すなわち、決められた要件に従って、現場の担当者に仕事を回して、スケジュール通りであるかどうかをチェックして、クライアントや社内に進捗状況を伝えて、品質と予算感をハンドリングしながら、最終的には納期へ向けていく。これがおおまかな役割でしょう。

言い換えるならば、決められた予定や要件どおりにWeb案件は進行しているか、技術要件をみたして、スケジュールどおりに進んでいるのか、それらを指揮して調整するのがWebディレクターということになります。

ディレクターがしてはいけないこと?

では逆に「ディレクターがしてはいけない役割」とは何でしょうか?
あくまで「現場レベルの統括と調整」ということになりますが、あくまでそれは原則であり、状況によって変化してくものです。
Web制作のステップを掲出してみます。この工程のうちでディレクターが「してはいけない」作業はどれになるのでしょうか?

  1. クライアントに対して、新しいWebシステム企画提案書を作成してプレゼンテーションを行う。
  2. 上記の見積書を作成して、価格の最終調整まで行う。
  3. 案件受注後、必要なリソース(人的or物的資源)を確保する。
  4. 案件進行のたたき台となるスケジュールやボリュームターゲット、サイト導線・設計を行う。
  5. デザインレビューおよびアートディレクションを行ない、デザイン確定を行う。
  6. 実際のページ作成(マークアップ)やシステム設計を行い、チェックを行う。
  7. SEO要件やリリース広告要件を取りまとめて実践する。
  8. ベータ版レビューおよびチェックを取りまとめる。
  9. 実際にサイトを公開する。
  10. 公開後のPDCAサイクルを回すために、アクセス解析をしてサイト設計やページ導線、ランディング・コンバージョン設定を行なう。

さてこのうち、ディレクターのお仕事はどれに当たるでしょうか???

実はどれもが正解……。

答えとしては、1-10のうち、すべての作業が「(ディレクターにとって)正しい作業」になります。
実際、私が「ディレクター」としてやっていたのは、1-10の作業すべてにかかわっていました。
もちろん私の役職がチーフディレクター、かつ営業担当ということも関係しているのでしょう。
ただし、他のディレクターに聞いても、これら10項目のうちのほとんどにかかわっているという話を聞きます。
厳密みると、4-10あたりがディレクターが本分ということになるでしょう。

ディレクターの役割は、「案件が現場に降りてから」という認識で間違いはありませんが、実際のディレクターの職務はより広い範囲を求められているのが、Web業界の現状ではないでしょうか。

RFPについて

ひとつの例をあげてみましょう。
RFPというものがあります。「提案依頼書」とも訳されます。
この「提案依頼書」をもとにしてにサイト設計、技術要件、目標値が決定されていきます。
クライアント(代理店・ベンダー)と、営業担当が話し合うための基本提案書類です。場合によっては、RFPを頭書きにして、企画書や設計仕様書までついてくることもあります。
ただ、クライアントや営業やプロデューサーが案件をスタートしたとしてもすべてを理解してスタートしているわけではありません。先ほど言いましたように「理念」「目標」を決めて、具体的な手法については現場側にたずねていることは往々にしてあります。
だいたいFRPは以下の内容で書かれます。

  • プロジェクト名
  • プロジェクトの概要
  • 対象ターゲット
  • 到達目的
  • 期待できる効果
  • 費用概算
  • リリース日
RFPにかかれてないことを……

この「RFP」が、サッカーでいうところの「キックオフ」になるのですが、多くの場合、「漠然と色よい」ことが書いてあります。

  • Webサイトが作成することで、会社業務プラスになる。
  • 新規アプリによって、会社とユーザーはWinWinになる。
  • 本システムは会社社のかかえるボトルネックを一気に解決する。

このように、色よい感じのことが漠然と書かれています。
もちろんそれらは「理念」「目標」として重要なことです。
ゴール地点は明確されているものの、そのルートやチーム編成はまだまだ漠然とした状態です。

それはあくまで、空中に浮かんだ風船についた種子のようなもの、現実的に展開するにしようと思えば、地面に降ろして根付かせなければなりません。それには穴をほり、水をやり、肥料をやる必要があります。

RFPを根付かせる役目

その「漠然とした依頼要件(RFP)」を「しっかりした樹木(Webサイト)」とするというのもディレクターの仕事でもあるのです。

ゆえに、ディレクターの仕事は、先ほどの1-10の作業すべてを理解しておかなければならないのです。もちろんクライアントや営業担当それぞれに思惑や狙いはあるでしょう。それらをしっかりヒアリングしながら、要件を現実的にしなければならない。
そのための理由づけということで、あらゆることが「Why」がヒモづくというわけです。
こう考えると、「ディレクターとは、落としどころに落とす人」という言い方が当てはまるかもしれません。

ディレクターには、数字を見る力、コミュニケーション能力、美術的感性、論理的思考、文章力などが必要になってくるというわけです。

つづく

今回のポイント

「漠然とした要件(RFP)」を「しっかりした樹木(Webサイト)」にするのもディレクターの仕事です。

筆者紹介
下坂 清周 KIYOKANE SHIMOSAKA

IT企業の取締役として十数年、金融機関サイトをはじめ一部上場企業サイトを多数構築。その他、eラーニングシステム・コンテンツ構築、各種業務系システム構築なども手掛ける。豊かなWebディレクションの経験を生かした「ディレクションとは何か」を本サイトで連載中。

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