株式会社トライン Webサイト(ホームページ)制作、システム構築・アプリ開発、eラーニング


Web-Column - ディレクションとはなにか? -

ITをめぐるディレクション業務は、近年どんどん複雑化、単純なWebサイト構築の「制作進行管理」ではとどまらなくなっている。 多様化するWebディレクション業務について、役割ポジションと実践ノウハウを解説しましょう。

Vol.2ディレクションのWhy 2014/04/23

ディクションのもう一つの根幹

前回は、ディレクションの最小単位が「方向付け(判断・決断)」であり、ディレクターとは権限として、「方向付け(判断・決断)」を執り行わなければならない人という話をしました。
もうひとつ、ディレクションを構成づけるのに需要な要素があります。
「方向付け(判断・決断)」ができない人が、ディレクターに向かないということも述べたわけですが、「方向付け(判断・決断)」ができない人は気質的なもの…すなわち優柔不断の気質の人というイメージがわきますが、実のところ気質というよりも、「根幹要素」の部分が欠如していることが多いのです。

ディレクションのところには…

Webディレクターに案件の話がきたときには、おおよそ以下のことが「漠然」と決まっています。

  • Webサイトを作るということ。
  • クライアント(依頼者)としては何をしたいか。
  • どのくらいの予算があるか。
  • どんなパワー(リソース)を用意できるか(相手方の担当者や素材情報や運営予定など)。
  • 納品(公開)はいつなのか。
  • 公開後にはどんなメリットが得られなければならないのか。

これらは、社内案件にしろ、社外案件にしろ、ある程度決まっている状態でディレクターのところに話を持ちかけられます。

登山のチームリーダーみたいに…

これを登山にたとえるならば…

  • どの山(高さ、難易度)に登るのか。
  • いつの時期、いつまでに登るのか。
  • 山に登るにかかる経費はどのくらいか。
  • そして山に登った後に得られる成果はどうなのか。

これらの基本的条件は、仕様要件として決まっていることがほとんどであり、それらが決まらないところから、ディレクション(方向付け)が介入することはほとんどないと思います。
このようにディレクションが介入するときには、いわば「現場の判断」が必要になってくるときからなんですね。
さきほどの登山に例えるならば、登山家のチームリーダとして、登山ルートからチームメンバーをかんがえるのがディレクターの役目。

ディレクターの気質として

ディレクターにお話が来たとき、チームリーダとしてまず考えてしまうのが「どうやって?(HowTo)」です。
「やるべきこと(仕様要件、予算・納期)」が決まっていれば、

  • 何のデバイスをファーストにするか。
  • どんなサイト形式にするか。
  • どんな技術を取り入れて組みあげるか。
  • それのは誰をつかって工数はどのぐらいになるか。

……などなど、会議中のテーマとして、ディレクターの頭の中には次々と浮かんでくることでしょう。
それはディレクター職の気質としては正しい行動ですが…………、ここで冒頭でお話したい「根幹要素」が抜けてしまうと、あとでエライ目にあってしまいます。

それは「Why?」

ディレクターの気質として、まず「どうやって?(HowTo)」を考えてしまうことは無理からぬことなのですが、それを中核に考えてはなりません。

ディレクターの職務をつかさどる根幹要素、それは「なぜ(Why?)」です。

「どうやって?」の前に「なぜ?」を問わなければならないんです。
んー、なにやら禅問答になっていますね(笑)。

「どうやって?」というのは、手法論の話です。実際のディレクターの責務としては手法論を考えるのは本来間違いではありません。
たとえば、「仕事では5W2H(who,when,where,what,why,howto,howmuch)を明確にせよ」と新入社員のときに習う方は多いはずです。
どれも需要な項目であるのですが、ことディレクターにとっては「なぜ?(Why)」は、すべての要素にひもづいてくるのです。

すべてはWhyにひもづく

クライアントに依頼されたとき、5W2Hを「なぜ」で分解してみましょう

  • 誰が?……なぜ、その担当者になったのか?相手の社内ポジションはどのようなものか?他の関係者は?また、なぜ自分がディレクターとして選ばれたのか?
  • いつ?……なぜ、その納期なのか?その公開は必須なのか?ほかのキャンペーンのタイアップなどがあるのか?会社の記念日と掛けられているのか?本当に間に合うのか?
  • どこで?……なぜ、Webサイトで展開することになったのか?本当にWebで正解なのか?PCでやるべきか、スマートフォンをやるべきか?
  • 何を?……なぜ、それ(サービスや物販)を訴求することになったのか?他との差別化はなにか?それをWebでやるべき理由は?そしてクライアントにとってのプライオリティは?
  • いくらで?……なぜ、その予算になったのか?相見積の結果か?どこまで予算拡充の可能性はあるのか?
  • どのように?……なぜ、Webの手法にしようとしているのか?ほかの代案を受け入れてもらえるのか?

「なぜ?(Why?)」はすべてにかかってくるので項目としてはつけていません。
それにしても「なぜ?」を聞きすぎていますね(笑)。

まずはWhy

もちろん、ディレクターは探偵ではありません。
こんなに「なぜ?」を聞いてしまって、「すべての謎が解けた!」などと自慢してはなりませんよ。
そんなディレクターがいたら、「二度と来るな」と言われること間違いありません(笑)。

しかし、5W2Hが「なぜ取り決められたのか?それは本当に正しいのか?検討の余地はあるのか?」を確認しなければ、「どうやって?(Howto)」が、独りよがりの空想になることだってあります。
「なぜ」を聞くことは、「どうやって」を作る前の前提条件として、確認するべきでしょう。
ゆえに、ディレクターの根幹要素となるわけで、まずは「Why」から入ってみましょう。

つづく

今回のポイント

ディレクターの職務をつかさどる根幹要素、それは「なぜ(Why?)」です。

筆者紹介
下坂 清周 KIYOKANE SHIMOSAKA

IT企業の取締役として十数年、金融機関サイトをはじめ一部上場企業サイトを多数構築。その他、eラーニングシステム・コンテンツ構築、各種業務系システム構築なども手掛ける。豊かなWebディレクションの経験を生かした「ディレクションとは何か」を本サイトで連載中。

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